地熱発電のことを知るには絶好のマニュアル本だ。
「脱原発」、「クリーンエネルギー万歳」の叫び声をよく聞く世の中だが、チネツのことは巷の噂にならない。地中を掘るというのは大手ゼネコンにとってうま味のあるビジネスだし、公共投資にもピッタリ。原発の代替を考えるなら、発電量の点では太陽発電よりチネツだろう。
なぜチネツは評価されないのか。そんな疑問もこの小説を読んでいると、解消。同時にチネツの虐げられた運命に同情。火山国ニッポンでは地震におびえるより、地の力を使いこなすべきだと思うのだけど。
物語は外資系ハゲタカファンドが日本の地熱発電のベンチャー会社を買収したところから始まる。ベンチャー会社を中心に外資ファンド、政治家、原発運営電力会社、温泉旅館組合などが入り乱れての利権争いは意外なエピローグを迎える。
正直、読み物としては、取って付けたような展開で、すっきりしない終わり方なのだが、原発の対案として地熱発電はアリだと思わせるプロパガンダ小説としてはすばらしい。
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